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管理職のケアをしない企業は生き残れない

今、最も疲弊しているのは管理職である

 

企業のストレスチェックを分析すると、驚くべき事実が浮かび上がります。

メンタル不調のリスクが最も高いのは、若手社員でも経営層でもなく、中間管理職なのです。

 

にもかかわらず、多くの企業は若手のケアには熱心でも、管理職のケアは後回しです。

「管理職なのだから自分で何とかするだろう」という思い込みが、組織全体を危機に陥れています。

 

管理職が抱える三重の板挟み

 

現代の管理職は、かつてない厳しい状況に置かれています。

 

上からは、高い業績目標、コンプライアンス遵守、DX推進、働き方改革の実現など、次々と課題が降りてきます。

限られたリソースで最大限の成果を出すことが当然のように求められるのです。

 

下からの要求も複雑化しています。

部下の価値観は多様化し、ワークライフバランス、キャリア形成、ハラスメントへの配慮など、

マネジメントに求められる視点は飛躍的に増えました。

一人ひとりに寄り添いながら、チーム全体のパフォーマンスも維持しなければなりません。

 

さらに、多くの管理職は自身のプレイヤー業務も抱えています。

部下の育成をしながら、自分の数字も追う。この二重負担が、彼らの時間を奪い、心身を削っていきます。

 

なんでもかんでも管理職任せの構造

 

企業は、あらゆる問題を管理職に丸投げしていないでしょうか。

 

ハラスメント防止、離職率改善、エンゲージメント向上、イノベーション創出。

すべて「現場の管理職次第」と考えていませんか。

研修を受けさせ、マニュアルを渡し、「あとはよろしく」では、負担は増えるばかりです。

 

本来、経営層や人事部門が解決すべき人事制度の不備、経営方針の曖昧さ、組織構造の問題までもが、

管理職の「頑張り」で何とか回っている企業は少なくありません。

管理職は、組織の矛盾を一身に引き受ける緩衝材にされているのです。

 

こうした状況下で、管理職のメンタル不調は増加の一途です。

優秀な管理職が突然休職したり、退職したりするケースが後を絶ちません。

彼らが倒れたとき、組織が受けるダメージは計り知れません。

 

管理職不在が招く組織崩壊

 

管理職がメンタル不調で離脱すると、そのチームは機能不全に陥ります。

代わりの管理職を育成するには時間がかかり、

その間、部下たちは方向性を失い、モチベーションは低下し、離職が連鎖することもあります。

 

さらに深刻なのは、他の管理職への負担集中です。

欠員の業務は周囲が分担せざるを得ず、すでに疲弊している管理職にさらなる負荷がかかれば、

ドミノ倒しのように次々と倒れていく可能性すらあります。

 

経営層と現場の橋渡し役である管理職が欠けていけば、

経営戦略は現場に伝わらず、現場の課題は経営層に届かない。

この状態で企業が成長することは不可能です。

 

今こそ管理職ケアへの投資を

 

企業が生き残るために、管理職のケアは待ったなしの課題です。

 

まず、管理職の負担を可視化しましょう。

彼らが何に時間を使い、何にストレスを感じているのか、経営層が本気で把握することです。

定期的な対話やサーベイを通じて、管理職の声に耳を傾けてください。

 

次に、不要な業務を削減し、権限と責任のバランスを取り直すこと。

責任だけを押し付け、判断の権限や必要なリソースを与えないのは、最も士気を下げる行為です。

 

そして、管理職自身のケアプログラムを整備すること。

メンタルヘルス相談窓口、カウンセリングの提供、管理職同士のピアサポートの場づくりなど、

彼らが弱音を吐ける環境が必要です。

 

さらに、管理職を孤立させないこと。

経営層が定期的に対話し、感謝を伝え、困難を共に考える姿勢を示すだけでも、心理的負担は大きく軽減されます。

 

管理職を守ることが組織を守る

 

管理職が心身ともに健康で、いきいきと働ける組織は強い。

彼らが安心して挑戦でき、部下の成長を喜べる余裕があれば、チーム全体のパフォーマンスは自然と向上します。

 

逆に、管理職が疲弊し、メンタル不調で次々と離脱していく組織に未来はありません。

優秀な人材は去り、残った人はさらに疲弊し、負のスパイラルに陥ります。

 

今、企業に問われているのは、管理職を「使い捨ての駒」として扱うのか、

それとも「組織の要として大切に育てる存在」として扱うのか、その覚悟です。

 

管理職のケアは、コストではありません。

企業が持続的に成長するための、最も重要な投資なのです。

彼らを守ることが、組織全体を守ることに直結します。

 

変化の激しい時代だからこそ、組織の中核を担う管理職の心と体を守る。

その決断ができる企業だけが、これからの時代を生き残っていけるのです。

 

私も、管理職の方々のケアに力を尽くし続けます。