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若手は職場で相談しない!?

職場での相談に対する心理的障壁

 

最近の調査結果によると、メンタルヘルス不調を感じている若手従業員のうち、職場内での相談や報告を行うのは約46%にとどまっています。これは約2人に1人という割合で、多くの従業員が職場での相談に躊躇していることを示しています。

さらに注目すべきは、上司へ直接相談した人は30.6%と3割程度で、一方で医師やカウンセラーに相談した人は49.3%と最も多いという結果です。

これらの数字が示すのは、職場よりも外部の専門家に相談する方が心理的なハードルが低いという現実です。

この状況を見るにつけ、職場における相談体制の構築が急務であることが分かります。

 

職場内相談の重要性

 

外部のカウンセラーや医師への相談は確かに重要ですが、早期発見・早期対応という意味では限界があります。

職場の同僚や上司が気づきのサインを見逃さず、適切なタイミングで声をかけることができれば、より深刻な状況に陥る前に対処できる可能性が高まります。

また、職場内での相談が活発になることで、メンタルヘルス不調を一人で抱え込む孤立感を軽減し、職場全体の心理的安全性の向上にもつながります。これは個人の問題解決だけでなく、組織全体のパフォーマンス向上にも寄与します。

 

相談しやすい職場風土の構築

 

職場内での相談を促進するためには、まず管理職層の意識改革が不可欠です。

上司が部下の変化に敏感に気づき、適切なタイミングで声をかけられるよう、基本的な傾聴スキルやメンタルヘルスの知識を身につける必要があります。

同時に、相談することが評価に悪影響を与えないという安心感を提供することも重要です。

メンタルヘルス不調を相談することで昇進や査定に影響するのではないかという不安を取り除き、むしろ早期に相談することが賢明な判断であるという文化を醸成する必要があります。

 

段階的なアプローチの提案

 

効果的な職場風土づくりのためには、段階的なアプローチが有効です。

最初は気軽な雑談から始まり、徐々に深い話ができる関係性を築いていくことが大切です。

定期的な1on1ミーティングの実施や、チーム内での心理的安全性を高める取り組みを通じて、自然な形で相談しやすい環境を作り上げることができます。

また、メンタルヘルス不調の兆候を見逃さないよう、職場全体でのメンタルヘルスリテラシーの向上も重要です。

ストレスのサインを早期に発見し、適切な対応を取れるよう、定期的な研修や情報共有を行うことが求められます。

 

組織全体での取り組み

 

職場内での相談体制を構築するためには、個人の努力だけでなく、組織全体での取り組みが不可欠です。

人事部門と連携し、メンタルヘルス対策を戦略的に推進し、従業員が安心して相談できる制度やシステムを整備することが重要です。

このような取り組みを通じて、若手従業員が職場で気軽に相談でき、早期の問題解決とメンタルヘルスの維持・向上が図れる環境を作り上げることができるでしょう。