「部下には休んでいいと言っているのに、自分はなかなか休めない。」
リーダーからよく聞く声です。
経営者や管理職の立場にいると、休むことへのハードルがぐっと高くなります。
「自分が休むと部下に負担がかかるのではないか」
「上司が休むと周囲に悪い印象を与えるのではないか」
「自分が頑張らないと組織が回らない」
そんな責任感やプレッシャーが、休むことへの罪悪感を生み出してしまいます。
しかし、リーダーが休めない組織は、部下も休みにくいもの。結
果的にチーム全体が疲弊し、パフォーマンスも落ちてしまいます。
では、どうすればリーダー自身が罪悪感なく休めるようになるのでしょうか。
それは、マインドセットを少しだけ「いいかげん」にすること。
ここでは、取り入れていただきたい3つのいいかげんマインドを紹介します。
1.「休むこともリーダーの仕事」と考える
まず最初に必要なのは、休むことを“仕事からの逃避”ではなく、リーダーの役割の一部として捉えることです。
リーダーの重要な役割のひとつは、チームの持続的な成果を生み出すこと。
そのためには、自分が常に冷静な判断をできるコンディションでいる必要があります。
しかし、心身が疲れ切った状態では、判断力も創造性も鈍ります。
無理を重ねることで、逆にミスが増えたり、部下への言葉がきつくなったりと、悪循環が起こることも少なくありません。
つまり、休むことは、未来のパフォーマンスを維持するための「戦略的行動」なのです。
経営者やトップアスリートが定期的に休暇を取るのは、決して贅沢でも怠慢でもなく、むしろ最高の成果を出し続けるための必要条件です。
この視点を持つと、休むことに対する後ろめたさが少し軽くなるはずです。
2.「自分が休むことでチームが育つ」と捉える
もうひとつの大きなハードルは、「自分がいないと回らない」という思い込みです。
責任感の強いリーダーほど、何でも自分で抱え込みがちです。
しかし、リーダーが常に現場の細部まで目を光らせていると、部下が自主的に動く余地がなくなります。
結果的に、「上司がいないと何も決められない組織」ができあがってしまうのです。
逆に、リーダーが意図的に席を外すことで、部下が「自分たちで考えて動かないと」と主体的に動き出すことがあります。
「任せること」によって部下が育つのです。
例えば、
休暇前に「この間、〇〇さんに判断を任せるね」と役割を明確にする。
多少のミスがあっても責めず、フォローする前提で任せる。
戻ってきたときに「ありがとう、助かった」と感謝を伝える。
こうしたプロセスを通じて、チームは確実に成長します。
つまり、リーダーが休むことは、部下を育て、組織の自立性を高めるための大切な一歩でもあるのです。
「自分が休むと迷惑がかかる」ではなく、「自分が休むことでチームが強くなる」という視点に切り替えることが大切です。
3.「休む姿を見せることが、最大のメッセージになる」
リーダーの行動は、言葉以上に部下に影響を与えます。
どれだけ「無理しないで」「休んでもいいよ」と言葉で伝えても、リーダー自身が一切休まない姿を見せていると、部下はこう感じます。
「口では休めと言ってるけど、上司が休まないなら自分も休めない」
結果、チーム全体が“休みにくい空気”に包まれ、長時間労働やメンタル不調が常態化してしまいます。
逆に、リーダーが堂々と休む姿を見せると、部下も安心して休めるようになります。
たとえば、
リーダーが有給休暇を計画的に取得する。
休暇の理由をオープンにする(「家族とゆっくり過ごします」「リフレッシュ旅行に行きます」など)。
休むときは完全に仕事から離れ、部下にも返信不要と伝える。
こうした行動は、「休むのは悪いことではない」という職場文化をつくる最大のメッセージになります。
また、マインドセットを変えるだけでなく、実際に休みやすい仕組みを整えることも必要です。
休暇中の業務をチームで分担できるよう役割を整理しておく。
休む前に業務の優先順位や引き継ぎを明確にしておく。
メールやチャットに「休暇中は返信が遅れます」と設定する。
こうした準備をしておくと、休むときの不安が減り、心からリフレッシュできます。
また、休暇から戻ったときは
「休んだことでこういう発想が浮かんだ」
「リフレッシュできて仕事の効率が上がった」と
周囲に共有すると、部下もポジティブに休暇を捉えやすくなります。
最後にもう一度強調したいのは、リーダーが休むことは、決してわがままでも贅沢でもないということです。
むしろ、疲れ切ったリーダーが無理に働き続けるほうが、組織にとって大きなリスクです。
休まず働き続けて
判断ミスが増える、
部下への言葉がきつくなる、
長期的にモチベーションが下がる。
こうした悪循環を防ぐためにも、リーダーが自分の心身を整えることは、チームのためでもあります。
休むリーダーほど、部下も休みやすくなり、結果的にチーム全体の生産性と持続力が上がる。
このいいかげんマインドを持つことが、罪悪感なく休む第一歩です。