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心理的安全性で、人が辞めない・闊達な職場をつくる

「うちの会社、働きやすいんだけど、何かを言うときにちょっと緊張する」

「ミスしたときの空気が、なんとなく怖い」

 

これは、心理的安全性が低い職場でよく聞く声です。

では、心理的安全性とは一体なんでしょうか?

 

「心理的安全性」とは?

心理的安全性とは、「このチームでは、何を言ってもバカにされたり、責められたりしない」という安心感のことです。

心理学の世界では昔から存在した概念ですが、

Googleが、成果を上げるチームの共通点が「心理的安全性」だという研究発表をしたことで

世界的に注目を集めるようになりました。

 

一言で言えば、「言っても大丈夫」と思える空気があるかどうか。

これがあると、メンバーは率直にアイデアや懸念を伝えることができ、ミスを恐れず挑戦もしやすくなります。

 

●心理的安全性が高い職場の特徴

・意見や質問が歓迎される

 新人からベテランまで、立場に関係なく発言できる雰囲気があります。

 

・ミスを責めない文化がある

 問題が起きたとき、「誰が悪いか」ではなく、「何が起きたか」「どうすれば防げるか」に意識が向いています。

 

・リーダーが自分の弱さを見せる

 「わからない」「間違えた」と言える上司の存在が、部下の安心感につながります。

 

●心理的安全性が離職率に効く理由

人は、「評価されない」ことよりも、「話を聞いてもらえない」ことに深く傷つきます。

どんなに待遇がよくても、自分の意見が通らず、ミスが許されない環境では、やがて心がすり減ってしまうのです。

 

心理的安全性が高い職場では、

・本音を言える

・相談できる

・頼れる人がいる

という状態があるため、困難な状況も一人で抱え込まずに済みます。

この“孤立しない安心感”こそが、離職を防ぐ最大のカギになります。

 

●心理的安全性を高めるために、今日からできること

・会議で「誰か意見ありますか?」ではなく、「〇〇さんはどう思う?」と具体的に聞く

・ミスを指摘するときは、「なぜ?」よりも「何が起きた?」と事実を聞く

・上司自身が「実は最近こういうことで悩んでいて」と、少しずつ自分を開示する

 

私も、自分の経験で実感しています。

かつて出版社勤めをしていたときのこと。

上司だった若き編集長は、会議のときに「船見さんはどう思う?」と

声をかけてくれることがよくありました。

 

あるとき、他の人とは違う意見を持っており、

編集部の中でもいちばん下っ端だった私は、意見を言うことを躊躇していました。

そこへ、編集長から「船見さんはどう思う?」と声をかけられたのです。

 

私が、「皆さんの意見とは違うのですが…」と躊躇しながら前置きをすると、

編集長は「いいよ」と軽く言うではないですか。

 

で、思い切って異なる意見を言ってみたところ、なんと採用されました!

嬉しかったですね。

以来、私は、思い切って自分の意見を言えるようになりました。

もちろん、他のメンバーも、自分の意見を堂々と発言していました。

 

だからでしょう。

その編集部で作っていた雑誌は、飛ぶように売れていました。

 

心理的安全性は、結果に直結します。

心理的安全性は、

離職率を下げるだけでなく、創造性・生産性も上がることがわかっているのです。

 

そしてそれは、“日々の言葉”と“空気づくり”の積み重ねで出来上がっていきます。

まずは「あなたはどう思う?」から始めてみませんか?