「女性活躍を進めるには、企業側が“いいかげん”になることが大切です」。
こう聞くと、???と疑問に思われるかもしれません。
でも、この「いいかげん」は、「無責任」という意味ではありません。
「適度で、柔軟で、ちょうどよい加減」=良い加減という意味です。
多くの企業は、女性活躍を進めるために制度を整えたり、研修を行ったりと、積極的に施策を展開しています。
ただ、あまりにも「ちゃんとやらなければ」と力が入りすぎると、
「管理」や「評価」が先行し、かえって女性たちが委縮してしまう場面もあります。
たとえば、育児と仕事の両立に頑張る女性に対して、「特別扱いせず、平等に扱うべきだ」として過剰に成果を求めたり、逆に「大変でしょう」と仕事を軽くしすぎたりするケース。
いずれも、意図は間違っていませんが、結果として息苦しさを生んでしまいます。
だからこそ、企業側が「いいかげん」になることが求められます。
すべてをルールで縛るのではなく、「この人には、いま何が必要だろう?」と状況を見ながら対応する柔軟さこそが、女性活躍を支える力になります。
一人ひとり違う人生を歩んでいる以上、同じ制度でも感じ方は異なります。
「前例がないから」「平等にしないと不公平になるから」といった思考を少し横に置いて、
その人らしい働き方を一緒に考える余白が必要です。
「いいかげん」は、思いやりと信頼の土壌から生まれます。
がんばりすぎず、ゆるめすぎず。
理屈ではなく、日々の関わりの中で生まれる感覚が大切なのです。
女性が力を発揮できる組織とは、完璧な制度が整った場所ではなく、
誰もが安心して「自分らしくいられる」ゆるやかな土壌を持つ場所なのだと思います。
企業が“いいかげん”であることは、強い組織づくりを推進します。
そして、その柔らかさが、これからの多様な人材活用を可能にしていく鍵なのです。